1.17.2012

Tone Bender MK4 (1969-)



 自分で言ってることを、自分で再度まとめる、というのもなんだかカッコ悪い気もしますが、ちょっとそれにトライしようと思います。今回は TONE BENDER MK4 に関してです。まず、確認しておきたいのは、1968年、SOLA SOUND社が新しいTONE BENDERを開発・発売することになり、TONE BENDER(通称MK3)を発売しました。この中身に関しては、こちらのページ等で紹介してきた通りです。
 それまで作っていたTONE BENDERのMK2(=ゲイリー・ハースト・デザインで、3つのゲルマニウム・トランジスタをもったもの)から回路を変更し、新しい、安定したファズの回路として搭載されたその回路は、以前書いたように、実はBURNSのBUZZAROUNDとか、イタリアELKAのDIZZY TONEというファズの回路とそっくりだった、というのも前述の通りです。

 で、今回改めて、TONE BENDER MK4というブツの紹介になるわけですが、ハッキリと判っていることは「そういう商品名」のTONE BENDERがあった、というくらいしかありません。上に4つの「TONE BENDER MK4」を掲載していますが、ご覧のように色違い、というだけで他はまったく同じモノです。中身の写真も載せてますが、中身も同じことが確認できますよね。そしてその中身、つまり回路のことですが、それは1968年に製造されたTONE BENDER(通称MK3)とまったく同じモノです。

 ではMK4は一体MK3と何が違うのか。まずひとつは、このファズはどうも1969年以降になってから発売されたらしい、ということです。これはファズ・マニアの方がいろいろ仲間ウチの所持品のMK4のポットデートを見せ合いっこして、一番古いのが69年モノだったから、という根拠しかありません。だから当方も、こういうカンジで推測としてしか書く事が出来ません。

 ただしその推測には「なるほど」と多少納得できる部分もあります。というのは、SOLA SOUND社が COLORSOUND というブランド名を使い始めたのが、どうも1969〜1970年頃らしい、という事もあるからです。上記で掲載した「MK4」には一切「COLORSOUND」の表記はなく、ご覧頂けるように「SOLA SOUND」の文字しかありません。つまりこれは時間軸的に納得できる、というワケです。

 1968年に発売されたVOX TONE BENDER MK3(SOLA SOUND製品)、それと同年SOLA SOUNDブランドで発売されたTONE BENDER(通称MK3)、それよりは後に発売されたから、MK4、というワケですね。
 もしかしたら気付きにくいかもしれませんので書いておきますと、上の4つのMK4は、フットスイッチの上の部分に、ホントにちーーいさな文字で MARK IV と書いてあります。MK3とMK4の違いは外見上の違いしかなく、また(これが一番話を面倒くさくしているわけですけど)MK4が発売されてからも、TONE BENDER(通称MK3)はそのまま発売されつづけていた、ということもあり、もの凄く誤解を生みやすい状況となっています。

 MK4の文字が入り、筐体の上に「SOLA SOUND」と入っているTONE BENDERは、ゲルマ3石を使い、ダイオード整流回路を持ったファズであることは共通していますが、一部は途中で回路の設置向き(表・裏)が逆になったものもあります。この「表裏テレコ」はMK3でも見受けられる変更なので、MK3もMK4も「同時期に流通してた」ことが裏付けされます。

 さて、実はTONE BENDER MK4と名付けられたモデルは、早々にシーンから消えています。これも推測になりますが、どうやら1973年ころには無くなっていた、とのことです。
 1973年といえば、TONE BENDER MK3の回路がシリコンに変更された時期とだいたい重なります。TONE BENDER MK3は(VOX TONE BENDERも、SOLA SOUND TONE BENDERも)シリコン・トランジスタに変更されても、そのままの商品名で発売され続けましたが、この「MK4」はその時期にはシーンから消えていたようです。

 これは以前も書いたことですが、実はシリコンに変更された後のTONE BENDERの回路を「MK4回路」と呼ぶ人もいます。というか結構多くて、そちらのほうが話が早い、という場合が多いです。ですが上記したように「MK4」に搭載されてた回路は「MK3」とまったく同じものなので、「MK4回路」が一体何をさすのか、は人によって解釈が違うんですよね。以前の投稿でも当方が「本ブログでは(MK3とMK4の)厳密な境界を定めていません」と書いたのはそういう理由でもあります。


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