6.04.2011

JMI - Justin Harrison Interview (Part.2)

 
 JMIのボス、ジャスティン・ハリソン・インタビューの2回目です。今回は現在のJMIのエンドーザーや関係の深いミュージシャンに関して語ってもらっています。



——ゲイリー・ムーアはたしかベックとかクラプトンに影響を受けてギター始めたんだよね(*1)。
JH:それから、ロリー・ギャラガーがやった組み合わせ、つまりVOX AC30とRANGEMASTERの組み合わせ、あれも大好きだ、と。これはゲイリー・ムーア本人から実際に聞いた。彼はウチの店で、JMI製のAC30レプリカ(トップブースト仕様)とJMI RANGEMASTERを一緒に買っていった。その組み合わせから生まれるサウンドを絶賛してたし、入手後もしばらく彼のお気に入りだったようだよ(*2)。
——ところで、TONE BENDERと並んで謎が多いことでも有名なRANGEMASTERだけど、そのオリジナルのことについて詳しい? アレ、最初に回路をデザインしたのは一体誰なのか、とか知ってる? その辺の情報がいまだに確証がないんだけど。
JH:ゴメン、詳しくはわかんないな。ちょっと今から調べてみるよ。なんか判ったら連絡する(*3)。
——そういえば、エアロスミスのジョー・ペリーが最近JMIのTONE BENDER MK1を使ってるよね。たしか彼はもともとジェフ・ベックの大ファンだったと思うんだけど、そんな経緯でジョー・ペリーはMK1を使い始めたのかな?
JH:そう、その通り。ジョー・ペリーは最初にカナダの楽器店でJMIのTONE BENDER MK1をみつけて、それを買ったんだって。その後に聞いたんだけど、彼はJMIのTONE BENDERをいろいろと片っ端から試してみて、それでMK1を試したときに、すぐにそれをゲットしたそうだよ。「今まで大好きで、いろいろ探していたんだけど、どうしても自分では決して出すことの出来なかった音」。それがクラシックな英国産のファズ、TONE BENDER MK1の音だったんだってさ。最高のエピソードだよね。
——それから最近、Jマスシス(ダイナソーJR)がJMIのTONE BENDER MK3を使ってるよね。彼はBIG MUFFの大ファンてことで有名だけど、たしか彼の親友でもあるマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズがMK3を使ってるから、Jも興味を持った、みたいな噂を聞いたことがあるんだけど、何か本人から話を聞いてる?
JH:彼がMK3を受け取った直後、すぐにメールが来たよ。スッゴイ気に入ってる、と言ってくれてる。ファズとレベルのツマミ(註:MK3は全部で3つのノブがあり、もうひとつはトーン)だけで、もの凄く幅広いファズのバリエーションが出せる、と喜んでたよ。今まで沢山の関係者や友人からも聞いてるけど、確かにケヴィン・シールズのギター・サウンドは、間違いなくJマスシスのギター・サウンドに多大な影響を与えてる。Jは今ウチが取り扱いしてるHIWATTアンプのユーザーでもあるんだけど、近い将来ギター・サウンドと機材に関して、また彼といろいろディープな相談をすることになってる。今はまだ詳しいことは何も決まってないんだけど、JMIはもしかしたらJマスシス・オリジナル・ファズっていうのを発売することになるかもしれない。是非実現したいね。
——個人的にどうしても聞いておきたいことなんスけど(笑)、JMIはTONE BENDER MK1のミック・ロンソン・シグニチャー・モデルというのを発売してるよね。あれの製作経緯を教えてもらいたいんだけど。実際に70年代にミック・ロンソンが使用してたファズの実機の回路をあなた方が確認した、というのはホントなの?
JH:ああホントだよ。実際にロンソンの未亡人が所有してたペダルの中身を、ゲイリー・ハーストが自分の目で確認してる。ロンソン・モデルもそうだけど、MK1の回路にはいつも悩まされてる(笑)。やっぱり今入手できるパーツでは、バイアスの調整とノイズの多さはなかなかクリアできないんだ。でも、ゲイリー本人の助言とスキルを得て、オリジナル通りのサウンドが出るように細かい調整を加えてJMIのMK1は製作されている。例の秘密の回路(*4)のことだけどあれはゲイリー本人の指示なんだ。知ってるよな?(この項続く



*1 ゲイリー・ムーアは、少年期に地元ベルファストでジミ・ヘンドリクスやジョン・メイオールのライヴを見たことがあるんだそうです。で、その後にピーター・グリーンの影響をモロに受けた、というのは有名な話ですね。
*2 ロリー・ギャラガーはクラプトンと並びRANGEMASTER使いとして有名な人で、彼はVOX AC30の「ノーマル・インプット」チャンネルにRANGEMASTERのアウトプットを突っ込んでいた、ということが判っています。ここにちっちゃく載せた写真は70年のワイト島フェス(ジミヘンが出たことで有名なフェスですね)でのギャラガー氏ですが、AC30の上にポツンと載せられたRANGEMASTERが確認できます。彼のサウンドにモロに影響を受けた人がクイーンのブライアン・メイであり、彼の代名詞ともいえるAC30+トレブル・ブースターの組み合わせは、ギャラガーからの影響がダイレクトに反映したものだったんですね。
*3 最近では、ジョー・ボナマッサ(写真左)もJMIのRANGEMASTERを愛用していて、JMIのエンドーザーの一人です。ボナマッサは20歳ソコソコでビルボードのブルース・チャートNo.1を獲得しちゃうような、年齢に似合わない(笑)激シブな本格派ギタリスト、といわれてますね。オリジナルのRANGEMASTERに関しては、別項にて改めて検証したいと思います。
*4 実はJMIのMK1回路はオリジナルとまったく同じではなくて、一部抵抗が追加された回路となっています。回路の中には黒いビニールテープが張ってあり、その中に抵抗が追加で配置されているのですが、以前そのことをJMIに指摘したことがあり、JMIは「オッ、気づいたね?」と笑ってました(笑)。この抵抗の追加はノイズの値を押さえるためのアイデアで、TONE BENDERの開発者ゲイリー・ハースト本人がJMIのために追加したモディファイであり、実際には秘密でもなんでもなく、これまでこの点に気づいてJMIに指摘したのが、たまたまスペインのMANLAY SOUNDのビルダーROMAN GILと日本の筆者の2人しかいなかった、という、どーでもいい話です。
 

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